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今回はフィンランドの夏の様子についてフィンランド在住のムーミン研究家・森下 圭子(もりした けいこ)さんのコラムをお楽しみください!

フィンランドは白夜の6月。真夜中になっても星が見えないくらい空は明るい。そして子どもたちだけでなく多くの社会人も、夏至祭を機に夏休みに入る。2週間を2回、または続けて4週間、いずれにせよ1カ月近くの休暇を夏にとるのだ。
夏休みの楽しみは大自然に囲まれた暮らし。自分たちを森の民と呼ぶフィンランドの人にとって、森の中のサマーハウスで過ごす時間は、自分を取り戻す大切な時間だ。山のように目指す頂上がない分、森歩きはその時のペースに合わせやすい。季節ごとの野草や花でサラダやジュースを作る。目が慣れてくるとヘルシンキの街歩きにも楽しみが増え、小さな自然の変化を見つけるだけでなく、公園でポルチーニを採る楽しみも覚えてしまった。
でも夏休みは、その日採れた森の幸や釣果で気ままに過ごすだけではない。薪割りに始まり、必要な蓄えを用意しておくことも欠かせない。
例えば白樺の葉。6月は生命力が最も強いので、この時期に葉をたくさんつけた枝の束をいくつも作っておくのだ。羊たちの食糧用に作ることもあるけれど、大抵はサウナで使う白樺の束「ヴィヒタ」のため。
サウナの本場とも言われるフィンランド。国内のサウナ数は、人口550万に対して300万ある。サマーハウスを自分たちで建てるときは、まずサウナ小屋から建てるという。サマーハウスに複数のサウナを建てる人たち、また自宅に電気ストーブと薪ストーブ両方のサウナを持っている人たちもいる。なるほど、人口に対してこのサウナ数も頷ける。
そのサウナで、少し特別感が増すのが、ヴィヒタの存在だ。夏至祭あたりの時期に作るのが一番いいと言われている。夏至祭でも新鮮なヴィヒタをしっかり水に浸し、サウナの中で火照った体を思いっきりパンパンはたく。サウナじゅうに白樺の香りが広がる。血行が良くなると人はいうけれど、パンパンと響くリズミカルな音は心地よく、白樺の葉の香りは心を落ち着かせてくれる。
この時期に作った白樺の束は、乾燥させておくか冷凍して保存する。また葉っぱだけを摘んで乾燥させれば、ハーブティーにもなる。
野イチゴ、野生のブルーベリーとベリー摘みで忙しくなる直前に、白樺仕事は終わる。
ベリーの季節になると、いよいよフィンランドも夏本番だ。森で屈んでベリーを摘む前に、白樺の枝を切るために上を見上げ時々つま先立ちするとか、森での作業は、運動としても上手くバランスが取れているのかもしれない。

森下圭子さん
(Keiko Morishita-Hiltunenさん)
ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。
今はムーミン研究家として、また執筆やコーディネートなどで、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活動中。
森下圭子さんのフィンランドの美しい自然や日々の暮らしをつづったエッセイ「Moi from Finland」は下記リンクよりご覧いただけます。