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フィンランド 秋の訪れ

ブルーベリーのある生活WEBサイトでは、ブルーベリーにまつわる様々な情報をお届けします♪
フィンランドの秋の様子についてフィンランド在住のムーミン研究家・森下 圭子(もりした けいこ)さんのコラムをお楽しみください!

フィンランド国旗のイラスト

 摘みどきを終えたビルベリーは葉が紅葉し、ベリーの旬はサンタ(リンゴン)ベリーやクランベリーへ。長い夏休みでリフレッシュした人たちが、また街に戻ってきました。

フィンランドの秋

 子どもたちは進級し、新しい門出を迎える人たちもいて、四週間の夏休みを終えた人々が溌剌と働く。秋がやってきたと感じる瞬間だ。首都ヘルシンキは海沿いの街なので、海から吹く風のほの暖かさは夏を恋しくさせるけれど、人々の様子には初々しさやフレッシュな場面も多く、だからか街で起きている新しい試みやイベントに目を向けることも多くなる。

 面白いと思ったことはやってみよう。いいと思ったことはトライしてみればいいじゃないか。
 フィンランドはそうやって新しい制度や文化を作ってきているところがある。予想のつかないことも多いし、誰にだって失敗はある。だから、そんなことを気にしてやらないよりは、やってみようよという社会だ。失敗したら続けなければいいし、少し工夫すればいいのであれば工夫してみる。成功してもそれはゴールではなく、常に進化させ続けるつもりで取り組んでいこう。社会のしくみも、ちょっとした遊びも、自治体のサービスも、基本的な姿勢はこうだ。

 子どもたちに昔ながらの人形づくりや遊びを体験してもらうとか、道路の一部を通行止めにして家で本を読むように青空の下で読書する、子どもたちのお泊り会ならぬ子どもたちのぬいぐるみたちが図書館で一晩過ごすお泊り会、森のなかで宝探し、移動図書館で作家本人による読み聞かせの会、きのこの勉強会。秋はさまざまな新しい試みが生まれる時でもある。

フィンランドの図鑑

 フィンランド国内ではあまり話題になることがないものの、フィンランドは様々な統計で世界の上位にランキングされることも多く、例えば幸福度ランキングが五年連続で世界一というのは日本でも話題になった。でも、それだけではない。図書館の利用率や観劇回数といった文化的な活動においても世界の上位に常にランクインしている。
 自然との共生を大切にしているフィンランドの人たちが、文化的な面でも積極的というのは意外に感じられるかもしれない。でも、人々の日常は森だけではないのだ。さらに言えば自然の中で培われる好奇心が、文化的にも積極的な土壌を作っているのではないかなと思う。
 いつもの見慣れた風景と思っていても、自然とは奇遇なものというか、ある日ふと目に入る新しいモノやコトがある。あれ?と思って調べていくときの楽しさ。新しいことや自分が考えていなかったものに興味を示すこと。これがまた、他者を尊重する多様性が謳われる現代の生き方とも通じている気がするのだ。

フィンランドの森とブルーベリーケーキ

森下圭子さん
(Keiko Morishita-Hiltunenさん)
ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。
今はムーミン研究家として、また執筆やコーディネートなどで、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活動中。

森下圭子さんのフィンランドの美しい自然や日々の暮らしをつづったエッセイ「Moi from Finland」は下記リンクよりご覧いただけます。

北欧生活: Moi from Finland

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